デシジョン・ツリー

 デシジョン・ツリーは、投資の意思決定や将来の方針の決定など、未知のものへの選択をテーマとして、とりうる選択肢とその結果の関係をツリー状にして効果を定量的に表す手法である。あるテーマを達成するための計画を考える時、まず複数の実施案を設定し、その比較を起こりうる確率をもとに結果を試算するというプロセスで分析が行われる。
 例えば、あるプロジェクトに投資すべきかどうかを考える時、する場合としない場合では、どのような結果が予測されるかをまず考えることになる。つまり、「投資をする」と「投資をしない」場合に分けて考えると、する場合の景気予測が問題になるので、今度は、景気が「好況」の場合と「不況」とに分けてそれぞれ考える分岐点に突き当たる。
 すなわち、「投資をする」→「好況」あるいは「不況」と「投資しない」→「好況」あるいは「不況」という4つの組みあわせの結果が算出される。このようにテーマの達成までの全体の流れを見通した計画をツリー形式で表すことで結果(期待値)を算出し、最も望ましい意思決定を行うためのシミュレーションをシステム的に行うわけである。
 デシジョン・ツリーは、他のツリーと同様に、根から葉に分岐する形で描かれる。分岐節(分岐点)は、意思決定ノード(意思決定者がコントロールできる行動:□)、確率ノード(意思決定者がコントロールできない事象:○)、結果ノード(結果価値を示す最終点:開いたリンク、あるいは△)といった3つの要素を用いて描かれていく。
 デシジョン・ツリーは、ツリー図において選択肢と事象について分岐させ設定した条件がおこる確率とその時の結果を求めて行き、最終的に選択肢の期待値計算を行うものであるから、意思決定者はこの選択肢の期待値により意思決定を行うことができるが、一方では、本来不確実である結果の見積もりやその発生確率を定量化する点で難点がある。
 また、このような選択は最終的には人間の判断により決定されるものであるから、数学的計算のみで解決できるものではない。つまり、リスクに対する個人の主観的価値判断が入るので、「小さいが確実性の高い利益」を選択するか、「リスクは大きいが高い利益」のどちらを選択するかは、個人の価値観によるものであることに留意する必要がある。