テーマ・ツリー

 イッシュー・ツリーが思考のフレームワークから出発し、事実の把握や分析に基づいて変遷するものであるのに対して、テーマ・ツリーは、まず現在の事実や実態を把握することから出発し、それを系統的に整頓する過程で、漏れや重複、交錯などを明らかにして、新たな業務体系を構築する(新たなテーマ・ツリーの作成)に向かう逆のプロセスを辿る。
 つまり、テーマ・ツリーは、事実を整理することで、全体像を把握し、効率的かつ効果的な作業手順を再検討する場合に役立つ。したがって、テーマ・ツリーを描く前に、基礎研究→開発設計→設備→製造→市場開拓→市場展開というビジネス・システムの中に内在する要素技術や技術資源、要員、全社の技術テーマの所在を洗い出さなければならない。
 こうした段取を行った後に、まずアウトプットに着目して現在の関連分野の主要テーマを列記し、テーマ間の上下関係をツリー状に標記する。すなわち、主要目的である「アウトプット」を主要テーマと位置づけ、それを構成するサブテーマ群をツリー状に標記する。その際時間の経過も考慮してツリーを描くことを忘れないようにしなければならない。
 次に、主要テーマに繋がるサブテーマ分野別に並べ、相互の関連、交錯の状況、時間軸上の優先度などを検討する。実際にテーマ・ツリーを描くときに、この部分を整理するのが難しく感じることが多いと思われるが、あまり形式にこだわらず、その部分をファジーなものとして、取りあえず先に進めてみるのも一つの手であるかもしれない。
 サブテーマ以下の課題レベルについてもさらに細かくツリー状に展開し、当初目指していた通りの成果が得られる仕組みになっているかどうか、漏れや重複がないかどうか、標準時間内に収まっているかどうかなどを検討する。しかし、そうした不具合が発見されたとしてもここで直ちに修正するのではなく、一応チェックしておくに留めておく。
 こうして完成したテーマ・ツリーの整合性をあらためて見詰め直し、会社の全社戦略、技術革新の動向、成熟度などを勘案しつつ、各テーマを重要度・効果・緊急度といった尺度により再評価し、あらたな位置づけを行い、これに基づいて経営資源の再配分を行う。このようにテーマ・ツリーは、組織開発や統合活動の全貌を検討する場合にも活用される。