イッシュー・ツリー

 イッシューとは、「論争点」とか「問題点」というような意味である。人によって主張や見解が異なるため、今後解決されなければならない未解決の課題をより具体的で複数の事実をもって証明または検討しうるサブ・イッシューに分解し、正しい解決のためにはどこに焦点を当てるべきか、どの事実が明らかになれば何が解決するかを検討する必要がある。
 ロジック・ツリーは、下部構造の事実を基礎にして、このベースを積み上げて全体の結論を導くものであるのに対して、イッシュー・ツリーは、解明すべき事実が何であるかが未知であるときに、どんな事実を明確にすべきかを検討するためのフレームワークであるが、MECEに分解するという点では同じであるとしても、掘り下げ方の種類が異なる。 
 イッシュー・ツリーは、大きな問題点(イッシュー)をまず提示し、これを相互に重複することのない2つ以上のサブ・イッシューに分解していくやり方である。こうすることで、一見手のつけられないようなものでも、次第に具体的な問題に分岐していく。そして、最終的には、事実をもって証明できるところまで具体的に追求していかなければならない。
 ただし、イッシューの設定をする場合には、問題を解決することが目的であるから、論理的に関係があるからといって、イッシューのフレームワークをつくると、関係があっても、ノン・イッシュー(イッシューとして取り上げる価値ないもの)ものが延々と広がってしまうので、そうしたものは切り捨てるという方針で進めなければならない。
 また、イッシューの展開は、当初は重大であると考えられていたが、問題を分岐させていく過程で、実はそれほど重要ではないという事実が判明した場合は、新しい問題に組み替えて展開していくことが肝要である。何故ならば、ツリーを分岐させることが目的ではなく、解決すべき問題を解く鍵を見つけるのがイッシュー・ツリーの機能だからである。
 例えば、売上が伸び悩んでいるという状況をMECEに分解して、解決策を探るというような場合、売上を分解する切り口はかなり多様で、どれに着目したらよいのか迷ってしまう。こうした時には、サブ・イッシューに分ける場合、経営上の判断や行動に結びつくと思われるイッシューを選択して立てるという工夫をすることが必要となる。