ロジック・ツリー

 ロジック・ツリーは、文字通りロジックを構成するツリー状のもので、表面に見えている問題から、その下層に潜んでいる真の問題を発見する時に役立つ。例えば、交通手段を選択する場合、最初から自動車とか電車というように迫るのではなく、まずは陸路、空路、海路というように網羅的に捉え、そのうちの陸路を車、電車、徒歩に分ける。
 さらにこれを電車の場合は新幹線、在来線に分けていく。そして、新幹線の場合は指定席、自由席に分け、車の場合は4輪車、2輪車、4輪車の場合は自家用車、レンタカーというようにブレークダウンして行き、実際に実情に合わないものは深く踏み込まないで、問題解決や意思決定に必要なものを検討することで、最も相応しい結論を見つけ出す。
 ロジック・ツリーが優れているところは、広く深く構成する全体像を明確にできることにある。全体が把握できるということは、一つの案に欠点が見つかっても第二案の候補がすぐに見つけ出せるため、必ずそこで検討している選択肢の中に最適な解があるということを意味するので、論理の漏れがないため最善の結論であるという自信が持てる。
 最初から、手段や結論を出してしまうと、どんなに論理的であっても、他の選択肢の方が優れているという対案が出た場合には、論理的な根拠自体があやしものになってしまう。例えば、新幹線の自由席とレンタカーの優劣をダイレクトに比較するのは、アップル・ッー・アップルに比較できないので、比較すること自体無意味なものとなってしまう。
 ロジック・ツリーを用いる場合、出発点に設定するのは、原因を掘り下げて考えたい問題や解決すべき課題である。例えば、「売上が伸びないのは何故か?」、「在庫が増え続けるのは何故か?」とか、「売上を上げるためにはどうすればよいのか?」、「来店客を増やすにはどうすればよいのか?」とう問題解決を思考する時には最適である。
 こうして、解決すべき課題や問題点を出発点に据えることで、ほぼ自動的にこれを次の階層の要素を見つけることができる。しかもこのツリーを用いると、いくつかの要素に切り分ける際に漏れを強く意識するので、出発点に据えた問題をMECEに切り分けていく過程で、解決すべき対策も次第に明らかになってくるという大きなメリットがある。