MECEに分けることの意味

 MECEという言葉にはこれまで度々登場してもらったが、この考え方の優れているところは、全体をある要素で分解した際、その要素同士がお互いに重複がなく、逆にそれを集めると全体になるという極めてシンプルなものである。言われてみれば当たり前のことであるが、実際に分析する場面になるとモレやダブリを見逃してしまう。
 実際にどういうところで間違ってしまうかというと、あまり抽象的で複雑な要素を選択してしまい、その集合が全体にならないということになりがちである。そこで、そうした要素を選択せざるを得ない場合には、分類しきれない要素にあまりこだわり過ぎず、その他という一項目を設けることで、少なくともモレは防ぐことができる。
 例えば、売上高の構成要素を分解する場合、売上高=売上総利益+売上原価と捉えれば、モレの問題は殆ど生じない。ところが、同じ売上を、売上高=営業利益+販管費+売上原価=経常利益+営業外収益+販管費+売上原価というように展開していくと、これらの要素の合計が全体にならないということが生じてしまいがちになる。
 さらに、販管費を細かい要素に分解すると、ますます全体との乖離が大きくなり、モレやダブリを探し当てるのに、一からやり直す羽目になることもある。これらの間違いを防ぐためには、大きな分類から小さな分類にブレークダウンして行くツリー型の手法が有効である。いずれにしても、切り口を明確に自覚しながら分析することが肝要である。
 それでも、市場とか売上といった数値で測定できるものである場合には、再計算することで分析の精度を高めることは可能であるが、MECEに分けるとは、数値化がなじまない抽象的な事象や現象などにも当てはまる考え方である。例えば、従業員の会社に対する不満などをMECEに分けるといった問題にはどのように対処したらよいのだろうか。
 こうした場合でも原理原則は同じで、直接的には数値で捉えることができなくても、その現象の結果と思われるある程度測定可能なものを数値化することらより、それを全体と見立てることで、MECEに分けるという方法を見つけ出す。その場合でも、まず、「足し算」による基本式から出発することが原則であり、後の手順は全く同じである。