物事はすべからく全体と部分からなっている。全体をそのままの存在として受け入れて、それに対処するという場合もあるが、大抵は全体を部分に分解し、全体の構成をより詳しく理解した方が、最適な行動に結びつくことができるという考え方から、分析することの意味の深さを理解してきたからこそ、分析技術が今も発展し続けている。
例えば、市場の細分化などはその典型的なものであるだろうし、売上高の分解なども、ただ単に分解することに意義があるわけではなく、分解したどの要素にどのようにアプローチすれば、売上高を伸ばせるのかを探るために役立つものでなければ意味がない。つまり、何を知りたいかによって分析の切り口が違ってくるということになる。
売上高を分析するといっても、利益を生み出す構造を明らからするために、全体の売上の中で、付加価値を生み出しているのはどこかを把握したいという場合には、売上高=売上総利益+売上原価=営業利益+販管費+売上原価=経常利益+営業外収益+販管費+売上原価というように展開し、それぞれの要素の重みを精査するという具合である。
また、前年度の売上で分解する場合や顧客層で分解する場合、資産、従業員一人当たり生産性、商品や事業、競争環境、顧客のライフスタイルや購買行動で分解する場合など、その目的によって多様な分析手法が駆使される。これらの分析手法は、どれも万能ではなく、何を知りたいのかによって分析手法の切れ味が違ってくるのである。
多様な分析手法が次々と開発され、とてもすべてに精通する能力を身につけるのは難しいが、当然ながら全体は部分の集合であると考えれば、分析によって明らかにされたものと、その残りとの合計であることは間違いない。そうすると、ごくシンプルに考えれば、足し算と引き算によって全体と部分がある程度説明できるとも考えられる。
この「足し算」と「引き算」は「掛け算」と「割り算」の原型であることを思えば、それだけで多くの分析手法のメカニズムも理解できるし、場合によっては新たな分析手法を発見することもできる可能性がある。要は何のために分析をするのかという軸がしっかり定まっているかどうかが問題なのであり、分析手法の選択はその次の問題である。
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