取扱商品の利益貢献度を分析するために行ったパレート分析からは、確かにA、B、Cのランクに分類することはできたが、この企業の場合は、およそ1/3の商品が赤字であった。単純に考えれば、これらの商品の製造・販売を中止すれば、売上高は当然2/3に減少するが、全体の総利益率は大幅に上昇することになるとい構図であった。
しかし、そう単純に製造中止を決定できるかといえば、そう簡単ではないという現実が待っていることは容易に想像がつく。そこで、今度は、同じ分析を用いて得意先別の利益貢献度を測定してみることにしたが、得意先への販売は、品目が複雑に混在しているため、特定の商品の製造中止を決定するための情報を取り出すことはできなかった。
こうした結果になることは予想されたことなので、担当者の反応は冷ややかなものであった。つまり、こんな分析は、過去に何度も行ったが、経営改善に有効な手かがりを得ることができなかったので、無駄な分析をしていると思って見ていたわけである。確かに、漫然と数字を眺めただけでは、どの商品を残し、どの商品を廃止すべきか見えてこない。
だからといって、ここを出発点として分析を開始しなければ、収益構造改善の糸口を見つけ出すことはできない。要はこの1次分析の結果からどのような分析によってどのような情報を取り出そうとしているのかによって、次の打ち手が決まってくるのであり、パレート分析の結果そのものに価値がないからといって、これを軽視すべきではない。
意思決定のために行う分析は、パレート分析によらず一つの分析で満足な結果が導き出せること稀であり、複数の分析を組み合わせ、論理思考による推定も含めて仮説を立てながら進めることになるが、この企業の商品分析や顧客分分析では、それほど多くの分析手法を動員しなくても、かなり有効な改善策を見つけ出すことができた。
具体的には、各商品の利益貢献分析、顧客貢献度分析、個別顧客商品分析を組み合わせて、どの顧客がどのような商品を購入しているのかに着目してみたところ、商品と顧客の関係が明らかになり、望ましい商品政策の方向を見つけ出すことができた。これは正にダイヤモンドの原石を見つけ出したようなもので、パレート分析の威力が再認識できた。
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