仕事の質量を事前に測定できる人

 日常的で定型的な単純作業は別として、仕事というものはやってみなければ解らないという部分は確かにある。しかし、それを言い訳にしてできるかどうか解らないというのでは、全ての計画が立たないことになってしまう。一定の満足水準を決め、これを達成するためには、どれくらい負荷をかけなければならないかを事前に把握しなければならない。
 仮説思考力に長けている人は、寸時に自分の中に構築されているデータベースから、大よその仕事量を算出し、達成レベルと期限を設定することができる。やってみなければ解らない仕事に対して、期限まで設定してしまうのは冒険というよりもギャンブルに近いかもしれないが、「できる人」と評される人はこれをいとも簡単にやってのける。
 こういう優秀な人がいる一方で、いつも尻ごみをして体をかわし続けている人、確たる勝算もなしに安請け合いをしてしまい、後で顰蹙をかってしまう人など様々な人がいる中、目標達成率が高い人も存在するのは一見不思議にみえるが、これは決して偶然が積み重なった結果ではなく、経験から一つのモデルをイメージしているからである。
 そうはいっても、成功の確率は常に50%を挟んで上下しているので、必ず成功するとは限らない。というのは誰にとってももち点は常に50%であるから、頭の中を不安がよぎることだってあるはずである。つまり、優秀な社員といえども、同じ土俵で戦っている以上、勝算と不安の狭間であえぎながら、チャレンジしてチャンスを掴み取っている。
 仕事の質量を事前に測定できるというのは、確かに能力であることは間違いないが、いわゆる頭の良さというような先天的な能力ではなく、経験と工夫によって築きあげられた能力である。したがって、事前に仕事の質量を測定することが苦手な人たちは、前例に倣うことでこの能力の不足分を補うということを常套手段としている。
 私たちのようなコンサルタントの中にも、これまで経験したことのない仕事が舞い込んでくると、経験がないので断るというタイプと、すぐに前例を探してこれを参考にするというタイプがいる。どちらのタイプも基本的には同じで、依頼主が要求している成果やこれを達成するためにはどれだけの仕事をしなければならないのかが見えていない。