非正規雇用の労働条件

 正社員以外の労働者を雇用する場合、まず注意しなければならないのは雇用期間をどのように設定するかである。一般的には、2ヵ月とか3ヵ月といったように予め限定して決めるので、特別解雇の手続きを取らなくても雇用期間が終了する。しかし、取りあえず1ヵ月として雇用し、これを安易に延長もしくは更新するのは禁物である。
 次に賃金をどのように取り決めするかも大事なポイントである。同一労働同一賃金の原則に照らし合わせれば、同一の事業所内で働いている正社員と殆ど変りない業務に従事する場合、臨時雇いについて正社員と異なった賃金を設定するのは不公平であるという考え方もある。判例ではこれを否定しているが、しっかりとした根拠がないのは問題も残る。
 それから、よく問題になるのは割増賃金についてである。正社員と同じ労働時間の約定で労働に従事している場合は、法定労働時間を超えると割増賃金の対象となるが、パートタイマーのように、法定労働時間より短い労働時間を定めている契約者に対しては、法定労働時間を超えない限り、割増賃金を支払う必要がないことになる。
 労働時間についても、当然労働基準法の適用を受けるので、臨時雇いも1日の労働時間は8時間である。そして、休憩時間の与え方についても正社員と全く変わりない。さらに、年次有給休暇についても、6時間であろうと3時間であろうと、一定期間継続して勤務すれば取得権利が発生するので、契約を更新する時には十分注意しなければならない。
 臨時雇いのうち、パートタイマーやアルバイトに対して、時間外労働を命ずることができるかということもよく問題になるが、就業規則などに、時間外労働を命ずる旨の規定が定められている場合は別として、これは雇用形態の問題として捉えるべきではなく、労働契約を締結する際に本人の事情をよく調査して決めるべきことである。
 臨時雇用の問題でよく話題になっているのが社会保険加入についてのことである。健康保険法第13条の2では、2ヵ月以内の期間を定めて雇用される臨時雇いや日雇いは健康保険の適用を除外しているが、それ以外は原則として適用を受けることになっているので、2ヵ月以内の期間を定めて雇用した場合でも、これを超えて雇用した場合は適用される。