労働時間の制限のない役付社員

 労働基準法第32条1項には、「使用者は、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはならない」と規定されており、これに違反して労働させた場合は処罰される(労働基準法第119条1号)。これは、長時間労働により健康を害することを防止することが建前となっているが、例外を認めなければ企業経営が成り立たないことも事実である。
 そこで、労働基準法第36条に基づき、労働時間の協定を結びこれを労働基準監督署長に届け出た場合には、法定時間を超えて労働させてもよいことになっている。ただし、この場合でも、就業規則に「業務上必要がある場合には、8時間を超えて労働させることがある」といった時間外労働に関する規定があることが前提となっている。
 本当に労働者の健康を心配しているのであれば、協定を結ぶことで解消できるとは思われないが、とにかく労働者保護の見地から制限されていることは間違いないので、原則として、役付社員もこの適用を受けることになる。ましてや、名前ばかりの役付で自己の勤務についても自由裁量権のない一般労働者と変わりない役付社員は当然この適用を受ける。
 そこで、労働時間の制限を受けない役付社員の範囲について、労働基準法第41条2項では、「監督もしくは管理の地位にあるもの」の行政解釈としては、「一般的には局長、部長、工場長など労働条件の決定その他の労務管理について、経営者と一体的な立場にあるが、名称に捉われず出社、退社などについて実態的に判断できるもの」としている。
 したがって、管理監督者であるか否かの判断は、労務管理方針の決定に加わる権限の有無、労務管理上の指導権限の有無、並びに自己の出退勤等について厳格な制限を受けず、自由裁量の余地があることなどが基準とされている。取締役工場長の名称を有していても、上記の基準に合致しなかったために、管理監督者には当たらないとした判決がでている。
 その内容は、「一度も役員会に出席するよう要請がなかったこと、役員報酬ではなく一般従業員と同じ賃金体系により賃金が支給されていること、工場の監督管理権は別の常務取締役にあること、そして、出社・退社についても一般従業員と同じ制限を受けていること」等の理由から、労働基準法第41条2項の監督もしくは管理の地位にあるものに該当しないと解するのが相当としている。