普通解雇となるのは、休職期間の満了、長期欠勤、勤務不良、心身虚弱、本採用拒否などである。一方、懲戒解雇は、普通解雇と比べると、退職金の受給資格と解雇予告義務の2つについて違いがある。一般的に懲戒解雇では、退職金の受給資格がなくなるが、就業規則や労働協約に、不支給や減額が定められていなければ全額支給しなければならない。
解雇をするに当たって、使用者側に解雇予告義務があるが、労働者の責めに帰すべき事由(帰責事由)がある場合は、労働基準監督署の除外認定を受ければ、予告義務は負わなくてもよいことになっている。ただし、除外認定を受けなければ懲戒解雇が出来ないというものではなく、この場合は普通解雇と同様に解雇予告をすれば可能である。
つまり、通常通り30日前に予告するかあるいは予告手当を支払えば、労働基準監督署の認定を受けなくても懲戒解雇は可能であるということであるが、問題は、労働者に懲戒解雇されてもやむを得ないと考えられる程度の帰責事由(重大な職務違反または背信行為)があったかどうかをどのように認定するかが争いの種となることである。
こうした中身を孕んでいるためか、使用者が指摘する懲戒解雇の解雇事由と労働基準監督署長の即時解雇の認定基準とはかなり隔たりがあるとこに注意しなければならない。この場合は、中身は懲戒解雇であっても、実態としては普通解雇と同じ形を取らざるを得ないことから、解雇理由証明書の解雇理由記載については特に注意を要する。
解雇理由証明書とは、従業員を解雇する場合、解雇予告の日から当該解雇による退職の日までに、解雇を予告された従業員から解雇の理由を記載した証明書の交付を請求された場合、遅滞なく、当該解雇の理由を記載した証明書を交付しなければならないことになっている(労働基準法第22条2項)し、また、解雇後に要求された場合でも同様である。
次に退職金の支給についてであるが、労働基準監督署長の即時解雇の認定を受けなければ、退職金は支給しなければならないという法的根拠はない。しかし、現実的には、帰責事由について争いが生じている場合を想定すると、懲戒解雇は有効であるとしても、退職金の支給を拒否するとなれば、使用者にとっても大きな火種を抱え込むことになる。
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