問題解決型ワークショップ

 ワークショップの元々の意味は、「工房」「仕事場」「作業場」といった、共同で何かを作る場所のことである。しかし、最近では、問題解決を目指したトレーニング手法や学ぶことによって何かを創造する手法として「ワークショップ」という言葉が使われるようになってきて、参加型体験学習的な意味合いが強まってきているようである。
 「ワークショップ」は、一方通行的に知識や技術などを伝達する研修会や勉強会などとは異なり、参加者自らショップに参加・体験し、グループ相互の作用のなかで何かを学びあい創造する、双方向的学習スタイルをとるのが特徴である。ファシリテーターが進行役になり、参加者が自発的に作業をする環境を整え、全員が体験しながら運営される。
 近年では、企業研修ばかりではなく、住民参加型のまちづくりにおける合意形成手法としても良く用いられ、大きな成果が実証されている。また、問題解決型や合意形成型に加え、教育研修型、体験学習型、自己表現型、自己啓発型など多様なタイプがあり、活用範囲は極めて広く、それだけにファシリテーターの技量が問われるところでもある。
 ワークショップが推奨され理由は2つある。一つは問題解決やチームの合意といった「成果の創造」と、共同作業を通しての「参加者の学習」である。前者については、異なる知識や価値観をもった人々の思いを相互作用させることにより、より質の高い成果を生み出すことであり、もう一つはダブルループ学習効果が期待できるからである。
 ダブルループ学習とは、シングルループ学習の対極にあるもので、一旦確立した枠組みや価値観に基づいて意思決定し実行した結果を評価し、その結果に満足しない場合、この枠組みの中でPDCAサイクルを回し成果を高めようとするが、これでは、その背景にある変数には目が向かないため、間違った目標を設定しまっていることに気がつかない。
 例えば、一度設備投資をしてしまうと、その設備を稼働させることが目的であるかのように勘違いしてしまい、設備を稼働させるための方策を何度も練り直すといった場合である。本質的な解決のためには、設備を稼働させることよりも事業そのものを廃止すべきであるかもしれない。こうした付け焼刃の対策に時間と費用を費やしてしまう。