コンフリクトの解消策

  コンフリクトというからには、自分の主張と相手の主張が対立している状態にあることは間違いない。これを解消するためには、相手の立場や主張をよく理解し、その主張を通すことによって得られる利得は何であるか、そして、どの程度のものであるかを推定することで、何らかの妥協案を提示するという方法で、相互のギャップを埋めていく。
 問題は、一方の主張を他方が受け入れて自分の主張を譲るという方法をとるか、お互いの主張を分けあって決着を図るのか、それとも、双方が譲り合って、折り合う点を見つけ出すのか、はたまた、相手を何とか説得して、自分の主張を通すのかによって、コンフリクトの解消の満足度が異なり、場合によっては火種が残ることもあり得る。
 ましてや、決定的な対立を避けて、解消を先送りするというのでは、コンフリクトが解消されたということにはならないので、解決策とは呼べそうにない。少なくとも、解消策と呼べるのは、お互いの利益が反しないようにメリットを交換し合うことで、満足度を高めるとか、あるいは、お互いに協力し合い、相互の主張が両立する方策を考え出すしかない。
 国家間に存在するコンフリクトなどは、武力による制圧以外にコンフリクトの解消策は無いようにも思えるが、こうした力による譲歩や説得では、解決に繋がらないことは、双方とも重々承知していながら、この手法を変えようとしないため、コンフリクトはますます深まるばかりである。協働や交換による解消策を探るのが現実的であるように思われる。
 例えば、ロシアと日本の間には、長年の懸案である北方領土返還問題が存在し、両国の友好関係構築の妨げになっているが、お互いの領有権だけを主張し合っている限り、話し合えば合うほど険悪になる可能性もあるためか、お互いに話し合いのテーブルに着くことさえ避けている状態にある。ここではまずお互いのメリットを洗い出してみることである。
 企業経営についていえば、最大のコンフリクトは、消費者が望む利益と企業が提供する商品・サービスの付加価値とのギャップである。これを埋める唯一の方策がマーケティングである。すなわち、企業と消費者がお互いの価値を交換することで、価値を創造するという協力関係を確かめ合うという方法でコンフリクトをコントロールしている。