的外れや論点のレベルのずれ、話の軸のずれを正すことも結構難しいが、それぞれの立場の違いから生じるコンフリクトほど厄介なものはない。そこには、誤解などといった生易しいずれではなく、お互いの正論が真正面からぶつかりあうという根源的な問題が潜んでいるからである。これをどの視座から論理を組み立て説得するかが問われる。
コンフリクトが生じる場面は、営業部門と生産部門、フロントワークとバックヤードワーク、本社と事業部など様々なところで見られるが、共通しているのは、安定した枠組が崩れかかっているという条件のもとで起きる可能性が高いということである。すなわち、従来の枠組みを守るべきかそれとも枠組みそのものを変えるべきかが対立点になる。
コンフリクトといっても、全ての点について対立しているわけではないので、ファシリテーターとしては、一致点と対立点を区分していくことで、何がコンフリクトを生み出しているのかを明らかにしなければならない。その際、細かい点まで合意させるのではなく、「概して言えばこんなところだ」というゾーンを見つけ出せれば成功である。
最大の対立点がはっきりすれば、それぞれの主張を尊重した上で妥協点を見出すのはそれほど難しいことではない。何故ならば、お互いの主張の背後には、そう主張する根拠があるわけであるが、それは共通の目的を達成するための手段に過ぎないことに気がつくはずで、お互いの主張は、目標達成のための方法論の相違であるという結論に辿りつく。
ただ問題なのは、力づくで一方の主張を退けると解決がますます難しくなるので、細心の注意が必要である。コンフリクトを解消するには、お互いの主張を尊重して痛み分けの形をとるか、問題を棚上げしてコンフリクトそのものをなくしてしまうという解決策がある。いずれも抜本的な解決策にはならないので、火種は尽きないことにならざるを得ない。
最も望ましい解決策は、ゲーム理論でいうナッシュ均衡の形を見つけ出すことである。それは、双方にとって100%の満足ではないが、自己主張が強すぎることで熾烈な戦いに突入してしまうよりも、相手も認めざるを得ない妥協点を見つけ出すことにほかならない。つまり、お互いにリスク・ヘッジのために保険をかけると考えるわけである。
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