論点のずれの修正

 議論がかみ合わず堂々巡りを繰り返すだけの会議ほど無意味なものはない。しかし、現実にはかなり頻繁に起こっているので気をつけたい。つい先日もある会社の戦略会議で、売上が低下しているので何とか回復させる方策はないものかという点について議論している際、ある役員から「やはり売上の回復が重要だ」という発言が出たことに驚いた。
 これほどトンチンカンな話は珍しいが、的はずれの意見を平然といいながら、そのことを指摘されても、決してひるむことのないつわものも結構存在する。こうした唯我独尊型の発言者は、本来強制的に黙らせなければならないのだが、それができないという実情もあるので始末が悪い。こうした時は無理に排除しようとするのは逆効果になる。
 また、それほど論点はずれていないのだが、話のレベルがずれているという場合もある。例えば、市場環境の変化との関係から、基本戦略の策定そのものに問題がなかったかという議論をしているのに、業務プロセスの誤りについて熱弁をふるっているというような場合である。これを本人に認識させるためには、さりげなく本論に誘導するしかない。
 レベルのずれは、縦軸の階層の違いであるとするならば、横軸である話の根源がずれている場合もある。例えば、小売店において顧客の支持を得るには、「品揃え」と「サービス」であるという2軸が重要であるという分析結果を踏まえて、まず、「品揃え」について議論しましょうということにしたのに、ある人は「サービス」についての意見を述べている。
 議論を構造化し、論点を整理することから始めたはずなのに、いつの間にか恣意的に対立軸を移動させ、自分の思いのたけを滔々と論じるタイプは、そもそも論理思考的な考え方が苦手で、ものごとを体系的に整理するのが苦手な人に多いようである。こうしたタイプの人には、数値や図形を用いて、自分のポジションを明確に認識させる必要がある。
 ファシリテーターとしては、ものごとの本質を捉える論理的思考とこれをビジュアルに表現し、メンバー間の情報共有化に努めるという素養を身につけておかなければならない。したがって、とりわけ、論点のずれを調整しながら、望ましい結論に導くという、技法を超えた陰のリーダーとしての役割も果たさなければならないことになる。