意見の類似(相違)が整理できたとしても、これからの議論をどのような論点で進めていけばよいのかという優先順位が明らかになったわけではない。一度に複数の議論を並行して進めるというのも、全く不可能というわけではない。例えば、税と福祉の一体改革に関する議論などは、「税」「福祉」を別々に議論しても始まらない。
しかし、こうした議論をする場合には、どちらかに重点をおいて議論するかという問題ではなく、どんな結論を得るために議論するかによって、自ずから優先順位が決まってくるわけであるから、議題のキーワードが並立しているからといって、一度に二つのことを議論しているということではなく、議論展開の途中で主役が入れ替わるだけの話である。
この議論のように、表裏一体で不可分な問題であるからこそ、ツリー型やマトリクス型で論点を整理し、優先順位をつけるという行程が必要になるのであるのだが、結局のところ、何を優先して議論すべきであるかは、ファシリテーターの裁量に委ねられているので、目標達成までのプロセスをイメージして優先順位を決めるしかない。
すなわち、先に整理した論点のチャートにより、議論の構図をイメージしながら、論点の重心を移していくというのが現実的な落とし所ということにならざるを得ない。したがって、議論の延長上において、決定的に対立するミクロの議論が潜んでいる場合には、かなりの困難が予想されるので、その場合は、更なる土俵の整備が求められる。
また、優先順位を決めて議論するという基本的な考え方とはやや矛盾するが、優先順位にこだわり過ぎると、議論の基軸から遠い位置にある少数意見を初めから排除あるいは無視してしまうことになり、議論に参加しているという意識が徐々に薄れてしまい、議論の結果導き出された結論に対して冷ややかな態度をとることもある。
ファシリテーターとしては、議論の落とし所をイメージしながらも、優先順位に幅をもたせ、小さな意見にも耳を傾けるという姿勢も採らなければならない。つまり、結論を急げばコンセンサスは得られないし、少数意見に焦点を合わせると、議論が堂々めぐりするという環境の中で、ジレンマと戦い続けなければならないわけである。
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