取引先は企業収益をもたらす重要な存在であると同時に、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれないというデリケートな存在でもある。根拠の乏しい噂に振り回され、出荷停止などの措置を講じた結果、取引先との関係が悪化してしまい、修復することが不可能になってしまったという例もあるくらいで、正確な情報を入手することが大切である。
取引を巡るリスクは様々なものがあるが、大きく分けると、市場環境に関するもの、競合他社の動向に関するもの、法改正に伴うもの、商品やサービスに関するもの、取引先の経営方針の変化に関するものなどがある。もちろんこれらのリスクは複合的に生じることもあるため、全般的な管理体制を整備しておかなければならない。
市場環境に関するものの主なものとしては、人口の減少、産業構造の変化による需要の減退、消費者態度や消費者行動の変化、商圏構造の変化、バイパスの開通などによる交通事情の変化などが考えられる。特に近年は、ITの普及による取引形態が激変したことによる、新しいビジネスモデルの出現により、業種によっては商圏が広域化している。
競合他社の動向に関するものとしては、新業態による強力な新規参入者の出現、新システムの導入による、旧モデルの陳腐化、機密情報の他者への漏えいなど多岐にわたる。また、法改正によるものは、規制が強化されたことにより、これまでの主力商品がコスト高になり、全体の収益性が著しく低下したというものやその逆もあり得る。
商品やサービスに関するものとして、特に注意しなければならないのは、製造物責任や瑕疵担保責任、債務不履行などに加え、これらのクレームに対する処理費用の発生、価格破壊による業界の枠組みの崩壊、技術革新の導入をためらったため、既存の商品やサービスに対する付加価値の低下など、経営革新を怠ると一気に経営危機に追い込まれてしまう。
取引先の経営方針の変化に関するものの代表格は、経営者の交代による取引の見直し、人事異動による取引先担当者の交代、経営方針や業態転換による取引の減少、取引先の経営状態の悪化、取引先企業との経営理念のズレの顕在化等々である。特に取引先担当者の交代は、長年積み上げてきた良好な商慣行の見直しを迫られる場合もある。
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