取引先のリスク予防策(その1)

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 営業マンがどんなに注意していても突発的な事故やトラブルは発生する。しかし、通常の取引状況に注意を払っていればある程度防げたであろうと思われるケースも多く見られる。突発的な事故として片づけられる場合でも、日頃から注意深く接していれば、事故の予兆に気づき、何らかの事前の策を講ずることもできた可能性もある。
 取引先の変化の兆しをどのようにチェックしておくべきかについては、経営面や取引面で生じる事故を念頭において行動することが肝要である。例えば、社長の姿があまり見えなくなった、従業員がよく入れ替わる、ベテラン社員が退社した、取扱商品が少ない、商品が整理整頓されていない、決済サイトの延長を求められるなどである。
 その他にも、社員の態度が粗暴になった、全体的に会社の雰囲気が暗くなった、社員から転職の相談をされたなどもチェックポイントのひとつである。これらのサインを見逃さないようにするには、日頃から取引先の経営状態や企業文化をよく把握しておくことである。平穏な状態を把握しておかなければ、異変に気づくことは無いからである。
 日常の営業活動でこうした異変を感じた場合、まず、上司に報告をし、更に詳しく変化の中身をリサーチし、他社に先駆けて対策を講ずる段取りも予め協議しておく。特に経営危機が迫っているという状況は、外部には悟られないように対処しているはずなので、他の取引先(例えば取引金融機関)からの情報収集も視野に入れて行動する。
 通常の取引先との接し方の中で、変化をリサーチするには限界があるため、万一の場合に備えて保険をかけておくという手段も有効であるが、取引を行う大前提は信用にあるわけであるから、この信頼関係にひびが入れば取引は成り立たなくなってしまうと考えれば、取引を開始する以前にチェックしておくべきこともかなりあるはずである。
 潜在的な事故には全く配慮せず、事故が発生した時は突発的で不可抗力であるとして片づけるのでは、あまりにも乱暴すぎる。営業マンの報告と全社的な与信管理が一体となっていなければ、リスクはますます高まることになる。このように考えれば、販売と与信管理は表裏一体のものであり、決してトレードオフの関係にあるものではない。