専門コンピテンシー

 職種や職位などによって異なる専門のコクピテンシーとは、営業職、製造職、開発・設計職、事務職、マーケティングなどで特に必要なコンピテンシーのことである。全社共通のコンピテンシーに加え、職種や職位によって特に要求されるコンピテンシーと個人特有のコンピテンシーが有機的に結合して成果に結びつく行動となる。
 専門コンピテンシーの候補として挙げられるのは、親和性、表現力、提案力、ユーモア、印象、傾聴力(人の話をよく聞き理解する)、調整力(意見の食い違いを調整して問題を解決する力)、共感性、調停力、顧客重視の考え方、顧客維持力、顧客深耕力、顧客開拓力、交渉力、人物評価力(人を見る目)、人脈形成力などの社会性分野のものである。
 次に、実際に業務を行動に移しているかどうかを評価する項目としては、専門知識習得力、技術革新習得力、文章力、採算意識、仕事の正確さ、仕事の迅速性、コスト意識、問題解決力、計画性、業務改善力、企画力などが挙げられるが、社会性分野と区分できないこともあるので、どちらかに分類することで対応することになる。
 組織規模の大小を問わず、戦略的思考力が必要であることは確かである。そこで必要になってくるのが、ものの見方(視座、視点、広さ、深さ)、論理思考力、仮説思考力、創造力、洞察力、状況分析力、コンセプト設定力、リスク管理力、戦略デザイン力、経営資源活用力、問題解決力といった非定形的な思考力を加えなければならない。
 そのほからは、情報収集力、情報分析力、情報活用力、情報共有力、そして、これらを駆使して構築することが望まれる連帯構築力、チームワーク力などのネットワーク形成力が評価項目になる。これらのコンピテンシーは、マネジメントの評価項目としても耐えうるものであるが、企業によっては別建てにしているところもある。
 いずれにしても、コンピテンシーは能力があるかどうかを評価するシステムに用いるのではなく、持てる能力を行動に表し、成果をもたらしたかを評価するというものである。したがって、成果に結びつく行動の背後にある基本的な能力は重要ではないということではない。持てる能力をどのようにして磨きあげ発揮できるようにするかを狙いとしている。