ビジネスモデルの構築

 製造業が原材料を仕入れ、製造し流通チャネルにのせて販売し、投下した資金と利益を獲得するという従来のビジネスの形も一つのビジネスモデルであり、現在も多くの企業で採用されているが、このモデルは大量販売を目標としているため、設備資金や在庫、売掛金投資などに多額の資金が必要で、経営資源の無駄遣いが生じてしまう傾向がある。
 こうした経験を踏まえて、企業が行う事業を合理的に設計しようとしているのがビジネスモデルである。いわば儲けを生み出すビジネスの仕組みとも言うべきものである。具体的には、経営資源を合理的に配分し、「顧客」「価格」「流通チャネル」をどのように組み合わせて儲かる仕組みをつくりだすかというのが、ビジネスモデルづくりの課題である。
 ビジネスモデルも出発点は企業理念であるから、誰に対してどんな価値を提供し、どんな目標を達成しようとしているのかを明らかにしなければならない。そして、そのために、保有する経営資源をどのように組み合わせ、その足らざるところをどのようにして調達するかという戦略のデザインから入らなければならない。
 次に、いかなる流通経路を通して販売し、どのタイミングで誰に代金を支払ってもらうのかも大事な要素である。従来型のビジネスモデルであれば、直接の受益者が商品・サービスを購買した時に代金を支払ってもらうというのがセオリーであったが、新しいビジネスモデルでは、受益者が複数存在することもあるため、費用負担も多岐にわたる。
 例えば、民報が放送するテレビ番組では、番組を楽しむ視聴者が直接の受益者であるのに、この番組のスポンサーである企業が視聴者にかわり費用を負担している。もちろん、スポンサー企業も広告することでメディアを利用しているので当然といえば当然かもしれないが、この仕組みの価値に対する評価軸が全く異なる。
 また、携帯電話やコピー機などのように、本体価格を犠牲にして長期間の通話料やカウンター料で、採算をはじくというのも新しいビジネスのやり方である。こうした多様なモデルを設計するのがビジネスモデルであるが、IT技術やインターネットを何らかの形で組み込むのも新しいビジネスモデルの特徴と言えるかもしれない。