コミュニケーション・ミックス戦略

 プロモーション戦略の基本は、自社の商品を消費者に認知してもらうことが第一の目的であるが、ただ単にアピールすれば足りるというものではない。このことは、自分を消費者の立場において考えみればすぐに理解できることであるが、現実に企業の側に立って考えると、どうしても販売促進型になってしまいがちになる。
 元々は自社のUVPが活かされるターゲット(市場)を設定し、顧客の潜在重要を引き出そうという戦略を選んだのであるが、実際に市場展開をしてみると微妙な戦略のズレを感じることもあるはずである。仮説思考により積み上げられた戦略が、どれほど市場ニーズに適合できるかどうかは未知数であると言わざるを得ない面もある。
 だからこそ、仮説思考と検証モデルが必要なわけで、事前に策定した戦略が期待通りに機能しないことをベースに戦略の修正を図るのがコミュニケーションである。消費者が実際に商品・サービスを購買するメカニズムは、多くの部分がブラインドで閉ざれており、このブラインドをこじ開けるにはコミュニケーションしかない。
 マーケティングの理論もこの閉ざされた扉を如何にして開くかという議論に終始してきた。IT時代の幕開けは、この全てを解決したわけではないが、飛躍的な進歩をもたらしたことは間違いない。One-to-Oneマーケティングなどはその象徴的な手法であり、顧客一人ひとりに直接対応することで、コミュニケーション・ギャップが最小に抑えられる。
 この手法は、顧客の属性分析にもとづく「データベース・マーケティング」や顧客の購買履歴を分析することでロイヤリティを高めようとする「顧客関係マーケティング(CRM)などへと進化している。One-to-Oneマーケティングの基本は、顧客一人ひとりの情報を的確にキャッチして課題解決に貢献することにある。
 このシステムが目指しているところは、繁盛している近所の魚屋さんの商売そのものである。というと、近所には魚屋さんはもうないと言われそうであるが、今でも健在な魚屋さんは、顧客との長い付き合いの中で、コミュニケーション・ギャップをなくし、「データベース・マーケティング」や顧客関係マーケティング」を実践してきたに違いない。