ポジションに応じた競争戦略

 顧客セグメントという考え方は、もともとニッチ型企業の競争戦略を意識して導き出された概念でるように思われる。だとすれば、現在は巨大市場に成長しているとしても、かつてはニッチ市場であったかもしれない。IT関連の市場などはまさにそれで、これからも進化し続ける可能性は十分にあり得ると考えられる。
 このように考えれば、現在の市場における自社のポジションを確認するということは、将来おこり得る変化をどのように読み込み成長の方向を模索する意味合いが強いとも言えるわけである。すなわち、競争戦略は中長期的なもので、成長戦略を意識した戦略であるということが、その中身であるということになるので、本来別のものではない。
 ともあれ、現在のポジションを確認することの意義は大きいので、それぞれのポジションに応じた戦略を押さえておくことは、自社の競争戦略を決める上でも重要な意味をもつことになる。そこでまず、リーダー型の企業が取り得る又は採用している戦略を見てみよう。このタイプの特徴は何と言っても全市場を対象とした全方位型の戦略である。
 具体的には、人材や他の経営資源の質量の大きさを活用したフルライン戦略である。特に、先発型であることも多いと思われるので、経験曲線を活かした強力なコストリーダーシップを発揮して、他企業のシェア拡大を抑え込むというのがセオリーである。つまり、他の企業がシェアの拡大を図るアクションを起こす場合の巨大な障壁を作ることである。
 一方チャレンジャー型の企業は、こうしたリーダー型の企業の顧客囲い込みを十分承知しながらも、虎視耽々とチャンスを窺い、場合によっては多少不利な状況でも果敢に挑戦する。その足かがりを作るためには、高性能な製品やユニークなデザインなど得意技を磨きあげ特定の分野ではリーダーをしのぐほどの力を蓄えておくことが不可欠である。
 また、ニッチ型の場合は、元々対象とする顧客層は薄いが、熱烈なフアン層を獲得しているわけであるから、選択している戦略は競争戦略というよりは、他の企業グループとは一線を画した戦略をとることになる。つまり、特定のニーズにフォーカスした集中戦略であり、リーダー型やチャレンジャー型と棲み分けすることを狙いとしている。