ターゲットとする顧客や成長の方向性を決め、進むべき事業が選択されると、今度はその事業を推進することにより、どのような成果を期待しているのかを具体的に描いてみる必要がある。それは通常売上や利益で示されると誤解されがちであるが、本当は、ビジョンが達成された結果を裏打ちする形で数値があると考えるべきである。
ビジョンは単なる希望ではなく、到達できることを前提にして設定するものであるから、事業を選択したからといって、到達点も同じであるということはあり得ないということである。このレベルを決定づける要因は、自社独自の能力に応じて規定されるから、ミッションを実践し、ビジョンに到達するための戦略も自社の独自能力に依存している。
ここでいう独自能力とは、ターゲットとする顧客を意識したものであるから、顧客の側から見れば、独自の付加価値というべきである。そうした意味でこの価値はUVP(Unique Value Proposition)と呼ばれるが、正に、このUVPを明確に認識することができれば、全体の戦略が見えてくるといっても過言ではないであろう。
このUVPを見つけるのはそう簡単ではないが、ワークショップの中でフレームを着実に行うことで見えてくる。難しいと感じるのは、これまでそうした思考様式で情報を整理するという姿勢に欠けていたからであり、ワークショップの中でそのプロセスを理解すれば、必ず見つけられるはずなので、チャレンジしてみる価値はある。
知識社会が到来していることを薄々気づいていながらも、相変わらず工業社会のビジネスモデルを引きずっているため、顧客が望んでいる真の価値を見失ったままでの営業活動では、他社が提供する多様な価値(ビジネスモデル)に負けてしまうのは道理である。つまり、旧態依然として、顧客に間違ったUVPを押しつけているわけである。
例えば、「高品質・低サービス・低価格」という組み合わせのトータル商品の提供を望んでいる顧客に対して、迅速なサービスを望んでいるに違いないと勝手に思い込み、高サービス・高価格」の商品を提供し続けていたことが、顧客離れにつながったということはよくある。この時の営業マンの言い訳は、「価格競争に負けた」という決まり文句である。
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