戦略づくりの環境が整ったところで、まず始めに取り掛からなければならないのは、「何を目指すか」であるが、これは単なる希望ではなく、実現可能性を念頭に置きながら検討するわけであるから、自社あいは自分の能力や立場などを考慮しながらアプローチしなければならない。山登りに例えると、どの山に登りたいのかを決めるプロセスに当る。
経営戦略でいえば、海外進出を狙うのか、既存の国内市場を丹念に掘り起こし、シェアを拡大するのか、といったことが論点になる。次に、営業部門の強みを活かして新たな市場を開拓するのか、新たな付加価値を創造するのか、既存の顧客を深耕するのかなどが議論される。つまり、ここでは自社の強み弱みを整理しながら進められる。
経営資源の強弱によっても選択できる戦略が規定されるので、対象とする市場と成長戦略、競争戦略の組み合わせに加えて、既存の製品で収益力の向上を目指すのか、それとも、リスクは高いが収益性の高い新製品開発に舵を切るのかを検討する。こうしたアプローチをフレームワークで整理したのがアンゾフの成長ベクトルである。
自社の立場を念頭に置きながら、フレームワークで整理するには、このように自社の立場、いつまでに達成を目指すのかという時間軸、それに相互の関係性(因果関係)を軸にして考える。これらを主軸にして議論を展開すれば、市場(既存・新規)、製品(開発・改善による差別化)などで自社の進むべき方向が次第に明らかになる。
ここで重要なことは、立場軸の考え方である。というのは、各部門の姿勢を崩すことなく改革を目指すことによる弊害である。これは、公的な戦略会議でも見られる風景であるが、グローバルな市民の利益よりも膝元の既得権を死守する姿勢を崩さないため、建設的な意見は片隅に追いやられてしまい、結局何も決まらないということはよくある。
つまり、ここでいう立場軸とは、全社的な視点に立った議論であることをリーダーが示さなければならない。次に、時間軸でも同じようなことが言えるが、多少のリスクはいとわないという姿勢で挑まなければ、経営はやがてジリ貧状態に陥るといった危機感によりビジョンを語る姿勢である。そして、顧客にとっての付加価値との関係性重視である。
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