戦略を自分の手で作るには(その1)

 経営戦略はもとより出来ばえを競うものではなく、それを実践してビジョンを達成してこそ意義がある。そのためには、企画部門が作ったものを単に受け入れて実施するだけというのでは、魂がこもったものとはなりにくい。自分の置かれている立場や悩みを踏まえたうえで、手塩にかけたものでなければ愛着をもって実践することはできない。
 現場ではそうした認識をもっているにも関わらず、一向に腰を上げないのは誰の責任なのか。これも一種のコンフリクトであるが、お互いに責任の所在を他の部門に押し付けたとしても、肝心の戦略が機能しなければ、何も解決したことにはならない。そこで、この悪しき均衡を破るための方策を講じなければならない。
 トップの意識改革が必要であるというのは簡単であるが、それができるくらいなら苦労はしないという本音が聞こえてきそうな気がする。確かに、誰がトップの意識改革を促すのかという問題は想像以上に難しい。特に中小企業では社長が方針を打ち出さなければ、現実には何も動き出せないという構造になっているからである。
 しかし、こうした考え方は決して建設的ではない。私の経験ではこうした改革に積極的ではない経営者はいないような気がする。ただあまりにも課題が多すぎて、何をどこから手をつけたらいいのか迷っているだけである。したがって、こちらの提案には熱心に耳を傾けてくれるし、展望が開ければ実行に踏み切る覚悟もある。
 要は、現状を踏まえたうえで、即効性のある戦略を打ち出し、ビジョンの実現に向けて踏み出せる手順を模索しているだけなのだが、日常の業務に忙殺されて改革に踏み切るタイミングがなかなか掴めない状態にある。こうした時の打開策の一つが、社内研修などの活用である。すなわち、社内研修を「ワークショップ」風に仕立てなおすのである。
 元々、ワークショップは研修という意味も含まれてはいるが、内容によっては、一方的な講義形式で進められるものも多いので、これを戦略策定のための参加型ワークショップに衣替えするわけである。すなわち、ここでそれぞれの部署における身近な課題を解決するための戦略を作らせてみる訓練の場として活用するわけである。