仮説を立てるためのデータ収集(その2)

 飲食店などにおかれているお客様アンケートなどをみると、どれもよく工夫されているが、アンケートを集計して結果をどのように活用しているかを責任者に聞いてみると、メニューの工夫や価格、サービスの改善に役立てているという答えが返ってくる。アンケートの内容を見るとそうした情報の収集を期待していることはすぐ理解できる。
 しかし、その活用の結果を本当によく活用し、販売促進につながる新たな仮説を構築しているかというと必ずしもそうではない。この種のアンケートには、始めからその程度の期待しかもっていなかったのであれば、初期の目的を達成したということになるかもしれないが、それにしては費用対効果という点では明らかに矛盾している。
 お客様の声を大事にするという姿勢は評価できるが、この種のアンケートを実施していない店は殆どないとすれば、他店との差別化にはあまり役立たないのではないだろうか。つまり、これをやらないと客足が減少するので、これを抑えるために実施しているというのが本音のようだ。スーパーなどの折り込み広告もこのタイプである。
 当初は新鮮で有効活用されたアンケートも、時がたつにつれて麻薬化してしまい、突然止めてしまうのはダメージが大きいと考えて、なかば惰性で実施しているというのが実態であるが、このアンケートを活用してもしなくても膨大な経費が発生していることを重く受け止めるべきである。お客様の声を聞くだけでは何が必要かはよく見えてこない。
 アンケートを実施することにより、どんな情報を収集して売れる仕組みを作り上げるかが課題であるとすれば、そのための仮説を立て、これを検証することで課題解決に一歩でも近づける可能性を模索するのが、経営上の重要な意思決定である。とすれば、最初に立てた仮説を確信に変えるために有効なデータを収集することが基本である。
 どんな課題解決を目指すかによって、表面的な設問にはあまり変わりないように見えても、答え方を誘導するなどの工夫も必要なることはあるので、アンケートを実施することによって得られるデータを予測しておかなければ意味がない。それは総数である場合もあるだろうし、平均、バラツキ、構成比、分布、相関関係、トレンドなど様々である。