問題をフレームワークで整理する

 仮説思考が問題解決に有効であることは理解できたとしても、肝心の問題が整理できていなければ、解決のための糸口を掴むことができないので、無意味な仮説を繰り返すことになり、問題の核心に迫るような仮説に精度を高めることはできない。論理的にはそうした仮説はあり得ないのだが、現実にはこうした仮説に溢れでいる。
 例えば、販売不振の原因を究明して、何とか目標を達成するための活動をデザインしようと思って議論しても、一向に決定打が見いだせないといった場合はよくある。その時の結論は、「営業マンの頑張りが足りない」「顧客情報が不足している」「価格が高い」といった定番の意見が出るだけで、抜本的な解決策には辿りつけない。
 こうした不毛の議論になってしまうのは、問題の本質をモレなく捉えていないためである。頑張りが足りないといわれた営業マンに言わせれば、何をどのように頑張ればよいのか見当がつかず困惑するばかりである。こうした時には、まず目指すべき状況を十分に理解したうえで設定し、現状を把握することであるべき姿と現状とのギャップを把握する。
 しかし、ここで問題なのは、販売目標を数値で設定し、達成できていない現状を数値で把握しても、抜本的な打開策が見えてくることはまずない。その理由は、問題点をどのようなフレームで捉えているかによって、真の原因の究明が特定できるかどうかが決まってくるからである。といってもそれはそんなに難しいことではない。
 フレームという言葉自体は比較的新しいので、あまりピンとこないこともあるかもしれないが、何を言いたいのかを相手に伝えるための手段であると考えるだけのことである。例えば、就職を希望する場合に提出を求められる履歴書なども、一種のフレームと考えることができる。これは会社が必要とする人物であるかどうかを一つのフレームにしている。
 問題解決のフレームワークとは、目指すべき状態と現状とのギャップ(問題点)を問題の特性や与件、前提条件、制約条件などを抽出し、その因果関係を整理することにほかならない。こうしたフレームワークを理解することで、何について仮説を立てるべきかが明確になれば、課題解決のための計画も具体的に見えてくる。