あらゆる商品には定価というものが設定されているが、これはいわゆる希望価格である。つまり、定価=「製造コスト(仕入れコスト)+必要諸経費+最低限確保したい利益+期待利益」という構造になっているはずであるが、現実には同業他社あるいは異業種との競争、顧客の購買力などによって期待利益どころか、最低利益を確保することさえ難しい。
しかし、企業が投下した資本を回収するためには、価格を度外視して販売することは自殺行為になるので、特別の戦略がある場合は別にして、通常は最小限度の利益を確保することを念頭において営業しているはずである。確かに価格競争をイメージすれば、希望小売価格があり、これを死守することが営業マンに課せられた責任と言えるかもしれない。
こうした競争環境は統制不能であると見れば、財務体質の優れた総合力によってのみ業界の序列が決定することになるが、そうだとすればこの枠組みは永久に変わらないことになり、経営資源の乏しい企業は市場に参入すること自体無意味であるということにもなるが、現実には多様な手段があり逆転現象も結構おこっている。
営業マンの戦い方についても同じようなことがおこり得る。というより、戦う相手や場所を選ぶことや戦略の展開の仕方によっては、価格競争力の弱さをカバーできるチャンスもかなりある。このチャンスをどのようにして見つけるかについては、ケースによって様々だが、共通して言えることは契約の着地イメージを先に決めておくことである。
すなわち、着地イメージを先に決めておけば、今対峙している顧客がわが社の顧客(あるいは製品)に相応しいかどうかが、対話のなかで容易に把握できるであろうし、顧客の予算も含めた課題が明らかになるように質問することも可能である。つまり、製品の性能ないし機能と価格のみが契約の成否を決定する構図に引き込まれないですむ。
仮説による着地イメージが準備されていないと、顧客に対する過大な期待を抱いてしまうため、相手の誘導に振り回されてしまい、場当り的に値引き要求をのまざるを得ないことにも繋がってしまう。ある程度の仮説を用意して臨めば、相手との対話自体が検証サイクルを回すことにもなり、仮説の精度が高まるため戦略の修正もためらわずにできる。
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