仮説検証方法の中で最も優れているのは、関係者の英知を集めてディスカッションすることである。ただし、関係者が一同に会すとそれぞれの既得権やこれまでの枠組みに拘束されて、建設的な意見が出にくいといった弊害が露呈することもあるので、否定的な意見や消極的な意見は決していってはならないなどの程度のルールを設けて行うべきである。
国や地方冶自体の予算編成を見るまでもなく、対前年比何パーセントアップ等といったシーリング方式が採られているため、その事業が本当に必要であるのかどうかという議論ではなく、既存の枠組みを維持するためにどれくらいの予算が必要であるかという議論になってしまうため、時代の要請に沿えなくなってしまうものも多く見られる。
こうした決定方式は、何も官公庁独特のものではなく、一般の民間企業でも同じ傾向があることに気づくべきである。こうした壁を乗り越えて議論をすることができれば、改善の余地が全くないという結論が先にありきという不毛の仮説からスタートすることにはならない。ディスカッション方式の検証ではここが大事なポイントとなる。
専門家というものは、文字通りその道の第一人者であると自負しているわけであるから、現在の枠組みに改善の余地があるという議論には積極的になれないのが普通である。しかし、振り返って考えてみると、かつては経営革新への意欲に支えられて現在の枠組みができたという歴史的事実に基づけば、さらなる革新はあり得ないと思うのもおかしい。
自分がかつて立てた仮説が真理にまで進化したという自負があるのであれば、そのことを論理的に説明すれば足りることであるのに、敢えてそうした論法も用いず、新しい仮説を進化させる姿勢を示さないとすれば、仮説思考そのものを否定しているに過ぎないといわざるを得ない。経営革新が遅々として進まない企業の特徴の一つがここにある。
こうした企業文化の逆機能ともいうべきバリアを打ち破るためにも、専門家としての英知を結集するアクションをとらなければ進歩には繋がらない。ディスカッションを実りあるものにするためには、既得権や権威に拘ることなく、積極的に意見を出し合うしかないことを悟り、メンバーの意見をまず聞く姿勢を示すことである。
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