仮説検証法(その1)

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 仮説を検証するには、まず、最初に立てた仮説に則り実行してみることであるが、その前に既存の情報を用いて検証してみるという方法がよく採られる。既存の情報を収集して加工・分析することで仮説を立てるのがセオリーであるとするならば、これはやや矛盾した言い方かもしれないが、取りあえず仮説を立ててみるという前提での話である。
 仮説思考が身についている人の場合は、既存の情報を参考にしているはずなので、それなりに精度の高い仮説が立てられるかもしれないが、所詮仮説は仮の説なので、始めの一歩を踏み出してみることに意義がある。つまり、どれだけ練られた仮説でも、既存情報を全て織り込んで立てられているとは考えにくいわけである。
 論者によっては、最初に立てた仮説をゼロ仮説などと呼んでいることもあるようだが、これを1次仮説と呼んだとしても、論理的に間違っているという根拠にはならないので、ここでは無視して考えることにしている。とにかく、ある目的を達成するために仮説を立てるには、データよりも自分の考えを優先する形で進められるのが自然である。
 したがって、最初の仮説は欠陥だらけであることは当然なので、ある程度の反論に耐えうるように肉づけしたいと思った時に、まず既存の情報を活用するという方法を選ぶことになるであろう。例えば、売上が伸び悩んでいる原因を仮説により改善しようとする場合などは、まず、既存の顧客データに目を落とし時系列で検証してみるはずである。
 このような場合、既存の顧客の売上が減少していることが確認できれば、今度は製品別の売上高の推移を検証してみることで、サービスや価格の問題なのか、それとも特定商品の問題なのかなどと、仮説の検証がどんどん深化していくため、新しく立てる仮説の精度は格段に高まることになる。これが仮説思考の最大の威力である。
 もちろん既存の情報も自社の1次情報に限らず、インターネットや書籍などで公開されている情報を用いることも可能である。このように情報を活用することで仮説を検証する方法は数限りないが、精度の高い仮説に育て上げるのはそれほど簡単ではない。それは検証サイクルの回し方に問題があるからだと考えるべきである。