仮説力を身につけるコツは、役に立つ行動とはどんなものかを追求することにある。そのためには、例えば、業績の良い営業所と悪い営業所の違いよく観察してみるのが効果的である。つまり、これら2つの営業所の特徴がわかれば、この現実を踏まえて、業績を改善するための弱み強みも見えてくるため、仮説が立てられることになる。
それでは、その観察のしかただが、業績が良かった時と悪くなってきた時の時間的経過に着眼することも有効である。経営分析などで時系列分析を行い、業績が悪化(好転)したのはどのような要因によるものかを分析するのもこうした理由によるものである。ただ、仮説思考では、データの読み込みに最初からのめり込み過ぎないことである。
多少精度が粗くても一つの仮説が立てられれば、仮説検証サイクルを回しているうちに精度を高めていくことは可能なわけであるから、検証サイクルの回し方をイメージしながら、取りあえず役立つ仮説を立ててみる。検証サイクルの回し方をイメージするとはどういうことかといえば、今立てた仮説で配慮されなかった視点のことである。
例えば、売上高が低下しているので、その原因を仮説思考で特定し、売上高向上を目指すための施策を企画したいというような場合、仮説が功を奏して売上高は向上したとしても利益率は低下してしまうかもしれない。すなわち、ものごとには二面性があり、一方を強化すると、他方が犠牲になるという仕組みになっていることが多いからである。
これらの欠点を防止するためには、ムシの眼とトリの眼が必要であり、ある一点についてだけ配慮すればよいわけではないことを示しているが、叩き台ともいうべき仮説が示されなければ、検証サイクルも回せないことになるので、堂々巡りを繰り返すだけであるとすれば、取りあえず複数の仮説を並行して立ててみるのも一案である。
仮説力は短期間で身につくものではないが、チャレンジしてみないことには永久に身につかない。ものごとに疑問をもったら、まず仮説を立ててみるという習慣さえ定着させることができれば、それだけ自分の中のデータベースも充実していくことにもなるので、検証の際に必要な論理思考も自然に身につき、これが相乗的に作用し仮説力が向上する。
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