矛盾する仮説の修正

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 仮説を立てこれを検証するためPDCAサイクルを回すことにより、仮説が正しかったか矛盾しているのかが次第に明らかになってくる。いずれの場合でも、事実関係を表面的に観察するだけでは真理の存在を見誤る虞があるので注意しなければならない。何故なれば、仮説は他の仮説と常に対立関係にあると考えるべきだからである。
 例えば、ある商品がA、Bという商店どちらでも売れているといったような場合、店の特徴がよく似ているせいなのか、それとも商品自体が季節性のあるもので、たまたまこの時期に売れているに過ぎないのかをしっかり検証しなければ、今後の仮説修正に大きく影響することになるといった場合で考えてみると解りやすい。
 店のタイプが似ていると判断するとすれば、他の商品の売れ行きも似ているということが検証されなければならないが、商品自体の特性によるものであれば、A、B両店以外でも売れていることを検証しなければ仮説の精度を確めることはできない。このように結果が一致していたからといって、仮説が正しかったと判断するのは早計なこともある。
 つまり、ある商品はA店で売れたことによりB店でも売れたという因果関係が立証できるのか、それとも、販売促進などのマーケティング戦略が似ていたためという単なる相関関係にあるのかを見極めるのも仮説検証の重要な役割であるが、あまりにも精度を意識しすぎると仮説を立てることができなくなってしまうという弊害もある。
 仮説はあくまでも仮の説なので、多少強引であるのは仕方ないことであるが、競合する仮説より優れているという評価を得なければ日の目を見ないわけであるから、ある程度の精度は必要であることは確かだが、何よりも大事なことは、実務に生かされることであるから、結論を先送りにする議論に終始することは避けなければならない。
 仮説検証サイクルを回すことで明らかな矛盾が確認されれば、直ちに修正ないし廃止されるのは当然であるが、仮説を立てることによりサイクルが回り始めるのであるから、仮説を立てることの目的意識がはっきりと示されていれば、競合する仮説も含めて、検証されることになるので、始めは精度の高さより仮説を立てることを優先すべきである。