仕事が早いか遅いかは仕事の種類にもよるであろうが、段取りの上手な人ほど仕事が早いように思われる。段取り自体は論理的思考がものを言うので、過去の経験やデータから仕事の進め方をデザインしている。ということは仮説思考であるということと、仕事の早い遅いは直接関係がないように思われるかもしれない。
確かに定型的で業務的な仕事の場合は、経験則がより働きやすいので仮説思考は不可欠なものではないかもしれない。しかし、管理的な業務ないし戦略的な意思決定を伴う非定形的な業務の場合は、おとし所をどこにするかをまず決めて、これをどのようにして達成するかを考える筈である。つまり、要するに結論は何かをまず先に考える。
中小企業の経営者からの相談で圧倒的に多いのは、「どうしたら良いのか」という手段に関するものである。一見、「何をしたいのか」という主語が省略されているようにも見えるが、実は大局を捉えておらず、「単に資金繰りが立ち行かなくなった」「営業不振を解決したい」といった、場当り的な目先の解決策を探すことに終始している。
資金繰りの問題でいえば、どうすれば融資を受けられるかといったものであるが、投下資本に見合った利益を獲得する体質をどのようにして作るかが問題なのに、融資が受けられれば解決できると考えているようだ。資金繰りが破綻すれば元も子ないという意味ではその通りなのかもしれないが、そうした体質が現状を招いたという反省がない。
営業不振の問題についても然りで、不振の原因を仮説思考で特定することが必要である。つまり、その原因が品質にあるのか、営業方法の問題なのか、営業マンの資質の問題なのか、顧客ニーズの変化によるものか、価格が高すぎるためか、代替品の参入によるものか、などの視点から検証し、仮説を立てることで方針を絞り込めるはずである。
すなわち、仕事の早い人は失敗しないということではなく、先見性、決断力、実行力を重視して、未来志向で取り組んでいるため、一度立てた仮説に固執することなく、PDSAサイクルを回すため、仮説の精度を高めていくことになる。そうした取り組みが、資金繰りの破綻や営業不振を回避することに繋がっているわけである。
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