経営計画の要約版作成

 中期経営計画の策定プロセスは、まず、外部環境の分析に始まり、同時に自社の経営資源の分析を行うことが基本である。この分析を受けて旧来の経営理念をリフォームし、新しい企業理念を構築するというのが経営戦略策定のセオリーである。企業理念が再構築されることによって、当然経営ビジョンも新たに設定されることになる。
 こうしたプロセスを経ることで、自社の全体的経営戦略の枠組みが明らかになるが、この段階では、事業領域を設定して基本戦略を示したにすぎないから、具体的な個別戦略に踏み込んで組織戦略や事業戦略、機能別戦略に落としこまなければならない。ここまで策定作業を進めてくると、経営戦略を遂行するための新たな課題も明確になってくる。
 経営戦略を構築し、これを遂行するということは、ここで明らかになった経営課題を解決するということと表裏一体の関係にあることになるが、これを推進するための実行計がすなわち経営計画として位置づけられる。つまり、どのような手順で経営戦略を実行し、そのために必要な課題を克服するかのロードマップが経営計画である。
 計画というからには、達成すべき目標があることになるので、経営目標を明らかにしなければならないが、これには大きく分けて、全社利益計画、全社キャッシュフロー計画、設備投資計画があげられる。つまり、経営計画というからには、資金の調達と運用のバランスを無視するわけにはいかないということである。
 これらの要素を細分化する形で各部門別の利益計画が策定され、全社的目標との整合性が最終チェックされる。そして、いよいよ経営計画が実行に移され動き出すわけであるが、協働システムである組織が、共通の目的に向かって動き出すには、組織全体としての行動規範がなければ、推進力として働くことができない。
 そこで、必要となるのが、全社、各部門、個人が同じ目的を達成するために協働する行動計画が具体的に示されなければならない。そうした行動計画を策定するとともに、経営戦略と経営計画との関連性を明確に認識できる計画の要約版が各レベル別に策定する必要が生じる。一連の中期経営計画策定はこの段階を迎えることで終結する。