部門別利益計画

 全社的な利益計画は、各部門の利益計画を統合したものであるから、基本的には、製品別や地域別、顧客別などの事業部門ごとに損益を見積もるという作業になる。しかし、全社的戦略の選択によっては、それぞれの事業が独立採算制になっているとは限らないので、その場合は、中期経営計画の中では特別プロジェクトとして扱うこともある。
 例えば、大型の設備投資を伴う場合などは、立ち上がり後数年は採算ベースに乗らないこともしばしば予想しなければならないから、他の部門からもたらされた利益を運用することになることもあり得る。また、市場が成熟化して市場からの撤退も視野に入れている部門もあるかもしれないので、部門別利益計画は、完全に独立したものではない。
 老舗と呼ばれる企業がフルライン化に拘り、不採算部門を廃止しないという現象はよく見かけられる。こうした戦略をとらざるを得ないのは、自社の拘りというよりも、得意先の強い要望によるところが大きいように思われる。いずれにしても、売上高や原材料費、製造原価、販売・管理費などについて検討し、損益計算書にまとめられる。
 ただし、部門別の利益計画といっても、上記の計画は損益計画を主体としたものであるから、主としてライン部門の場合のものであり、総務・経理、企画といったスタッフ部門の場合は、損益計画を側面からサポートするという意味において利益計画に数値が盛り込まれ、単年度では予算として一体的に管理されるべきものである。
 全体計画にしても部門計画にしても、販売計画が基礎となることから、販売数量、販売単価、顧客別販売高、新規顧客獲得数などが当初の計画に対してどのような実績となって表れたかを検証するシステムがなければ単なる画餅に過ぎない。計画?実施?統制のサイクルが着実に回される仕組みであることも利益計画の要件である。
 利益計画は、経営戦略によって裏打ちされた経営計画の中核をなすものであるから、場合によっては経営戦略を練り直す必要性が見えてくるかもしれない。以上のようなプロセスで積み上げられてきた利益計画は、実行計画を通じて行動に移され、全社的目標の達成に向かって全ての組織が有機的に作用しながら動き出す。