キャッシュフロー計算書

 資金計画表を策定するにあたって重要なことは、資金の調達と運用のバランスをとることであるから、損益計算書による利益計画との整合性がなければならない。キャッシュフロー計算書は今後の事業計画遂行の結果、最終的な損益だけではなく、設備投資や製品開発などへの運用が可能になるかを予測する意味においでも重要な意味を持つ。
 そこでまず、キャッシュフロー計算書では、営業によるキャッシュフローから始めることになるが、これは企業の事業活動により発生するキャッシュフローを記載する部分で、損益計算による(1)税引前当期利益、(2)減価償却費や各種引当金などの非資金損益項目、(3)受取利息・支払利息、未収金、前払い費用などによる損益調整項目、(4)売上債権・棚卸資産・仕入債務の増減などで構成される。
 次に投資活動によるキャッシュフローは、利益を生み出すために行った投資がどの程度のスピードで回収されたかを金額で把握するためのものである。主な項目としては、有価証券や各種固定資産の取得による支出額、売却などによる入金、貸付金の実行による支払額および回収額の入金がこの項目の構成要素である。
 次に、財務活動によるキャッシュフローであるが、借入金や社債発行、増資などによるキャッシュの流入や、その返済・償還によるキャッシュの流出を記載する。営業活動によるフリーキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフロー支出額を差し引いた残りが、マイナスであれば、当然財務活動によって補てんが施されることになる。
 このキャッシュフロー計算書は、上記の流れを観察すると、従来の資金繰り表とよくにていることに気がつく。また、資金の源泉と資金使途を明確にするという意味では資金運用表の性格も持っていることになるので、キャッシュフロー計算書は、企業の支払い能力を裏づける計算書としての役割が大きいとも言えるわけである。
 キャッシャフロー計算書が重要視されるようになってきた背景は、企業買収の際に対象企業の価値を測定する重要な評価軸として見直されるようになったためであるが、不動産の実勢価格などを評価するよりも、企業活動により生み出すキャッシャフローの現在価値を測定して評価する方が合理的で実情にあっているという考え方によるものである。