利益計画の策定

 業績目標、事業目標、組織編成目標などからなる経営目標が示されると、今度はこれを具体的にどのような方法で達成するかという計画を策定しなければならないが、これが利益計画ということになる。経営目標は利益計画の達成によってのみ実現されとは限らないが、全ての計画は利益計画と密接に関連していることは事実である。
 利益計画は、損益計画、資金計画、配当計画などで構成され、最終的に見積損益計画書と見積貸借対照表に集約される。まず、損益計画では、売上高、営業外収益、特別損益などの収益計画と売上原価、販売費・管理費、営業外費用、特別損失などの費用計画が検討され、目標利益を獲得するためのシミュレーションが行われる。
 この流れは、利益の概念からみると、限界利益(売上高?売上原価)、営業利益(限界利益?販売・管理費)、経常利益(営業利益+営業外収益?営業外費用)、税引前利益(経常利益+特別利益?特別損失)、当期利益(税引前利益?法人税等)という5つの利益で構成され、通常最も重視されるのは最終的な当期利益ということになる。
 このように利益計画では、売上高から諸費用を控除して利益を求める方式と、売上高から目標利益を差し引いた残りを許容費用とする利益先取り方式がある。いずれの方法が優れているとは断定できないが、目標利益を確実に獲得するという意識が働かなければ、費用(原価や販売管理費など)が膨らんでしまう傾向がある。
 利益計画を策定する場合もう一つ注意しなければならないことは、費用の分解という考え方である。財務会計上の損益計算書は、操業度によって増減する変動費と人件費や減価償却費、支払利息、賃借料などの固定費に分解して計上されることが多いが、現実には、自社の性格により、こうした固定観念は当てはまらないこともあるということである。
 最後に、こうして策定された見積損益計算の結果、貸借対照表がどのように変化するかもチェックする必要がある。つまり、目先の損益計算だけではなく、利益を獲得するために売掛金や棚卸資産がどのように変化し、その結果資金繰りなどにどのような影響を与えたかは業績目標の達成を判断する大きな材料となるからである。