事業別戦略課題の解決策

 個別の事業戦略を実行するために機能別戦略が必要であると考えれば、事業戦略の課題を解決するための手段が機能別戦略と考えることもできる。そこで、事業戦略課題を改めて抽出するというよりは、事業戦略課題が明らかになり、既に企画された機能別戦略と対応させて見ることで、矛盾点あるいは不都合な部分を修正するという形になる。
 すなわち、ここでの課題は、マーケティングミックスやR&D戦略、生産戦略、販売戦略、原価低減戦略といった機能別戦略をどのように構築していくかが解決策そのものである。例えば、マーケティングミックス戦略において、品質、価格、チャネル戦略、プロモーションがアンバランスにあったとすると、この解決策はミックス戦略の中にある。
 ただし、課題とはあるべき姿と現状のギャップとして捉えられるから、解決策を課題と捉えてしまい、解決策を見つけ出すことができなくなってしまうことがある。確かに、ある課題の解決策は手段であるが、その手段を課題と捉えてブレークダウンしていき、最終的な解決策を導き出すという論理的思考は必要なことである。
 この辺の思考が混同してしまうと、本当の課題が見えにくくなるため、解決策も当然見つからないことになるので注意を要する。こうした堂々巡りの議論から抜け出すためには、あるべき姿を当初の目標と捉え、なるべく数値に置き換えてみるとギャップが明確に見えてくる。このギャップを埋める手段がすなわち解決策である。
 例えば、売上高やシェアの伸び率などに目標と実績の間にギャップがあるとすれば、このギャップ(課題)をどのような方策を講じて克服するかという手段(解決策)を探すことになる。解決策は限られた制約条件の中で検討されることになるわけであるが、課題が明確に把握できれば、最良の解決策も導き出せる可能性が高くなる。
 つまり、課題と解決策の組み合わせは、原因と結果と見ることもできるので、そのメカニズムの因果関係を辿ってみることで見えてくる。最良の解決策が見つからないのは、課題が明確に捉えられない場合と、あるべき姿自体の捉え方に問題がある場合である。つまり、解決策を見つけ出すためには、まず課題を正確に捉えることである。