経営目標の設定

 経営戦略の枠組みができると、今度はこれを具体的な数値で表現する作業が待っているが、これがいわゆる経営計画である。経営戦略と経営計画との関係は多少わかりにくい面もあるが、要するに企業理念に則したビジョンを達成するための経営戦略を練りあげ、これを具体的に数値で語るのが経営計画と考えれば解りやすい。
 そのため、経営戦略計画などと呼ばれることもあるが、文言に拘ることはなく、大枠の戦略をどのようにして達成するかという実行計画と捉えれば十分である。そこで、経営計画策定の第一歩は、経営目標を業績目標という形で数値化することになる。具体的には、売上高、営業利益、経常利益、総資本利益率、自己資本利益率などの目標で示される。
 また、事業目標という観点からすると、各製品別の売上目標や限界利益率、新市場の開拓、新製品の開発、多角化の推進、海外進出などという戦略ごとの売上目標、シェア、限界利益率で示されほか、株式公開、顧客満足度の向上など定性的な目標も含まれる。特に顧客満足度の向上は、自社の存在意義を示すものなので目に見える形で示すべきである。
 経営目標は、自社の経営資源を有効に活用することを効果と効率という基準によって定めるものであるが、事業目標は市場との間で価値の交換という点に重点をおいて定められる。当然これらのバランスが問われることになるが、これをより確実なものにするために組織が編成され、これが有機的に機能しなければならないことになる。
 組織編成でまず考慮されなければならないのは、人つまり従業員の質量である。組織の編成方針は、従業員の採用および要員計画にはじまり、従業員一人当たり売上高、付加価値生産性、一人当たり人件費などが検討される。これらは設備投資とも密接に関連しているので、投資による経済効果、資金調達方法なども合わせて考えなければならない。
 また、設備投資だけではなく、売上高の確保を目指すためには営業拠点の整備や事業部制、合併、買収なども視野に入れながら、資金の調達と運用がバランスするように、総資本対自己資本比率、総資本利益率、自己資本利益率、売上高対支払利息率などにも及ぶことになる。いずれにしても、これらの目標は密接な因果関係によって繋がっている。