個別戦略(機能別戦略)

 機能別戦略もまた全体戦略を実行する上での各機能レベルの戦略であるから、全体戦略と整合するものでなければ意味がないことになる。機能別戦略は大きく分けるとオペレーション機能と管理機能に分けられるが、オペレーション機能は、直接的機能であるR&Dや生産、販売と間接機能である物流、チャネル政策、広告宣伝に分けられる。
 一方の管理機能は、人事・総務、経理・財務、情報システムである。上記の各機能のうち、R&D戦略では予算配分と開発テーマが主題となる。また、生産戦略は生産能力、生産拠点、生産性、生産品目、原材料の購買方針、外注・内製化などの方針が主なものである。また、販売戦略は製品別戦略、事業別戦略、顧客別戦略、地域別戦略、チャネル別戦略などである。
 物流戦略は、納期、品質、物流拠点、物流システムなどであるが、キーポイントは、在庫削減、リードタイムの短縮、ローコストオペレーションということになり、特にサプライチェーン全体の最適化を目指すことが最大の課題となる一方、物流部門のアウトソーシングも固定費の削減という観点から検討されることになる。
 一方の管理機能のうちの人事・総務戦略では、旧来の年功序列型から能力主義・成果主義の人事制度への移行が課題となるものと思われる。過度な成果主義は日本的経営の良さを壊す虞があるという根強い意見もあるので、全体と個人の調和をどのように考え制度設計に織り込むかが大きな課題となるため改革は遅々として進まないのが現状である。
 その点、経理・財務戦略に関しては、資金調達戦略と資金運用戦略が2大柱になっていることは基本的に現在も同じある。資金の運用と調達のバランスをベースに望ましい財務構成戦略が練られることになるわけであるが、運転資金、現金資金、設備資金の性格を十分に理解し、予算管理システムを構築することが肝要である。
 最後の情報システム戦略であるが、全体戦略や基本戦略との整合性を図るためには、開発・生産・物流といった基幹系、経理などの勘定系、管理会計、人事・総務などの管理系に分類できる。これらに関するソフトは日進月歩なので、あまり固定的に考えるとシステムがすぐに陳腐化してしまうことにもなりかねないので注意が必要である。