全体戦略の設計

 これまでの分析で明らかになった経営ビジョン、経営目標達成度とのギャップを解消するためには、新たに全社レベルの基本戦略を設定しなければならない。そして、これを組織戦略、事業戦略、機能別戦略にブレイクダウンしていく。企業によっては経営ビジョンを具体的に把握していないこともあるので、現実にはこのギャップは測定し難い。
 そうした場合は、事業面やブランド面、技術面、組織面、人材面に分けて分析してみると、抽象的な経営ビジョンであってもある程度のギャップは掴めるはずである。それでもこのギャップが把握できないということになれば、ただ現状を見詰めているだけで、経営ビジョンは存在しないに等しいということになってしまう。
 次に、経営目標と現状のギャップには、売上高や市場シェアとのギャップ、利益目標とのギャップ、財務構造とのギャップが典型的なものである。経営ビジョンは抽象的なことばで表現されているので、ギャップは明確に把握できないとしても、そのギャップがこれらの経営目標とのギャップの背景になっていることは間違いないところである。
 売上高や市場シェアとのギャップが大きい場合は、販売力が弱いのか、商品力が弱いのか、商品ラインアップが弱いのか、価格競争力が弱いのか、販売チャネルが不適切なのか、それとも総合的なマーケティング力が弱いのか、などが考えられる。いずれの場合でもこれまでの分析結果を踏まえれば、その対処方法は容易に導き出せることになる。
 利益目標と現状のギャップにしても、製造原価の引き下げか、販売費・管理費の引き下げ、新市場の開拓、人材の投入、あるいは付加価値の増加など対処療法を見つけ出すのはそれほど難しいことではない。しかし、これとても先に行った強み弱みの分析がおざなりなものであっては正しい方向は導き出せないことになる。
 財務目標とのギャップも上記のギャップと無関係ではないが、ここでは主に再投資の面からの検討が欠かせない。つまり、折角獲得した利益の再配分を誤ってしまい、稼働率の低い設備を抱えてしまったという場合である。多くの中小企業が現在抱えているギャップはこの辺に原因があるようだ。その場合は目標を下方修正することも止むを得ない。