事業領域の再設定

 事業領域はドメインとも言われ、事業ドメインと表現されることもあるが、どちらも事業の定義域という意味で使われている。その中身を具体的にいうと、事業構成や事業の領域を明確にすることにより、「どのような顧客を対象にして」「どんな特定ニーズに応えようとして」「どのような独自能力」を提供しようとしているのかを明らかにすることである。
 なぜドメインの設定が必要かといえば、ドメインの定義を明らかにすることにより、新たな事業展開の道が開けることになるが、その際のポイントとなるのが、上記の「顧客軸」「技術軸」「独自機能」の3つである。そしてドメインを定義するにあたっては、将来の事業の可能性が広がるものにすべきで、広すぎても狭すぎても不都合である。
 また、ドメインは事業の手段ではなく、事業の機能で定義しなければ、事業の目的を見失ってしまい、対象とする顧客ニーズに応えることができなくなってしまう。「鉄道事業」や「映画事業」に固執したため、「運輸事業」や「娯楽事業」というビジネスチャンスを見逃してしまったなどというのがその例としてあげられる。
 定義的に捉えるといまひとつ理解し難いドメインだが、コンセプトとセットで考えると解りやすい。コンセプトはドメインに基づいて事業を展開するとき、経営目標を達成するための基本的な考え方であり、戦略の展開の仕方を定義したものである。つまり対象顧客のニーズに応えるためにどのような戦略が有効であるかを明らかにするものである。
 このようにビジョンを達成するためには、戦略を翻訳したコンセプトが必要となる。このコンセプトがなければ、社員の持てる力を集中して事業の推進を図ることはできない。限られた経営資源を目標達成に向けて集中することにより、ビジョンにフィットした戦略が有効に働くというわけであり、これがドメインとコンセプト関係である。
 すなわち、どのような目的を達成するために、この事業が必要なのかを明らかにするのがドメインであり、この定義域に沿って戦略を展開するための方法・手段に指針を示すのがコンセプトである。市場展開において苦戦している企業には、企業理念、経営ビジョン、事業ドメイン、コンセプト、戦略の間に貫性に欠けていることが多く見られる。