経営戦略の話になると、まず、最初に登場するのが「経営理念」という言葉である。経営理念についてはいろいろな解釈があり、何を主題にした話が続くかによって微妙に違った説明がなされる。バランス・スコアカードなどでは、経営理念=ミッション+ビジョン+バリューが3つの要素として扱われているが、本質的には何ら変わるところはない。
ミッションはその企業の存在理由を示すものであり、ビジョンは企業が将来どのようになりたいのかという到達点のことである。そのためには何をしなければならないのか、何をしてはいけないのかを具体的に表現するのが戦略である。そして、具体的にどのようにすればよいのかを詳述する戦術と、これを着実に成し遂げるための計画が必要である。
ドラッカーは経営戦略について、ミッションは何か、顧客はだれか、顧客にとっての価値は何か、成果とは何か、そして計画は何かと問いかけている。つまり、顧客を満足させるためにどのようなミッションをもち、どのような戦略でビジョンの実現を図ろうとしているのかを明確にするのが経営戦略を策定することの意味である。
ビジョンがあるということは、顧客が何を望んでいるのかを知っていることが前提で、その場合の付加価値とはどの程度のものであるかも把握されていなければならない。そこのところが不明確であっては、達成すべき成果も定義できないことになり、経営計画自体が全く機能しないものになることを肝に命じなければならない。
中小企業の場合、当初は確かに崇高なミッションがあり、ビジョンも存在していたが、年月の経過とともに風化し、何故か経営計画だけがひとり歩きしていることがある。こうした企業の場合は、成果は数値のみで設定され、目標に向かって協働する仕組みはもちろん、社員の行動規範も存在していないに等しい状態になっている。
こうした状態に陥ってしまう原因は種々考えられるが、その一つは経営計画にあれもこれも盛り込んでしまうことにある。そのためどれも捨てきれず、結局は消化不良を起こしてしまうことにあるようだ。自社の経営資源を考えれば、選択すべき戦略はそれほど多い筈はないのだが、ミッションやビジョンにブレがあると優先順位も見えなくなってしまう。
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