メカニズム解明へのステップ

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 メカニズムを解明することで、ビジョンを達成するためのシナリオを描けるとはいっても、一気にメカニズムの解明に取り掛かるのは合理的ではない。様々な現象の原因を考える時、最初にある要因を想起し、個別の要因を思いつくという思考法から入ることが多い。この思考法は、あまりモレやダブリを気にせず、ある仮説として思い浮べる。
 ところが、試行錯誤を続けていくうちに、多くの矛盾点があることに気がつき、一つの要因では説明できないことを認識するに至る。そこで今度は、現象が生じた原因を列挙し、全体を説明しようとするが、こうした平面的なアプローチでは、各要因間の因果関係や重みが解明できないことに気づき、メカニズムの解明は暗礁に乗り上げてしまう。
 ここまでくると、それまで列挙した要因を時間軸で分解し、原因と結果で「前生後発」の関係を整理するという方法に辿りつく。こうした手順を経ることで現象のメカニズムが解明できれば、予め設定されたビジョンに向かってシナリオを描くこともできるし、あるいは、シナリオを描くことでビジョンの輪郭を明確にすることもできる。
 メカニズムを解明するには、論理的思考による仮説思考が根底にあるとしても、現象の背後にある要因を列挙するという段取りから入ることで、要因間の因果関係、行為主体の意図や相互作用、それらの時間展開が織り込まれた因果関係のストーリーが語られるので、メカニズムの解明がより練られたものになり、最終目的のシナリオに好影響をもたらす。
 しかし、経営戦略の策定が目標である以上、どんなに練られたシナリオであったとしても、所詮仮説に過ぎないわけであるから、あまり神経質になり過ぎては前に進まない。要は、それなりに配慮した思考回路を通ったものであるかどうかが大事なのである。仮説として出来上がったシナリオは検証される機会は十分にあるからだ。
 経営戦略ばかりではなく、ある目的を達成しようとする場合に、我々は同じような試行錯誤を繰り返し、失敗と成功を経験することで心の中に自分なりのデータベースを構築していく。この過程が仮説力を育むことになり、経営戦略のシナリオを描く場合にも有効に働くことになるというわけで、行動を起こさなければいつまでたっても身につかない。