ゲーム展開を予測し仮説を立てる

 ファッションなどの流行はどのようなメカニズムで発生するのだろうか?一般的によく言われている説に従えば、少数の目立ちたがり屋が新しいファッションをとりいれて見せびらかし、これに次ぐものがオピニオンリーダーとなって、ある種のトレンドを作りだす。これが認知されだすと大勢の人々がこれに遅れまいとして続くようになる。
 しかし、そこには種も仕掛けもないのだろうか。やはり誰かが仕掛け人となり、強烈なメッセージを発することで源流を作っているように思われる。そう考えると、当然失敗もあり得るわけであるが、何らかの事情で流行した商品の要素やプロモーションを分析してみることにより、ある共通性を捉えていることに気づく。
 例えば、あるベストセラーの本があったとすると、これを購入した読者層を分析することにより、年齢や性別、職業、学歴などから、本の内容あるいはタイトル、表紙のデザインなどに対する反応をもとに「売れる本」を作っているわけである。もちろん本である以上、内容が大事であるから、売れっ子の作家の著書であることは言うまでもない。
 しかし、内容がよければ読まれる(売れる)というのであれば、タイトルや表紙のデザインなどはどうでもいいのではないかとも思われるが、やはり、2次ないし3次品質である「ネーミング」や「カラーコーディネート」などは結構重要なファクターである。このことは、食料品や電化製品などにも顕著に表れている。
 このように、一方では個性を重んじながら、他方では流行に左右される行動は、やはりコーディネーション・ゲームそのものである。このゲームの特徴は、ゲームそのものを作り変えるのではなく、何らかのシグナルを出すことでゲームの流れを変える、あるいは変えないように誘導またはコントロールするところにあるようである。
 「みんなで早起きをする習慣」「いつもだらだらと残業する習慣」など、別に論理的根拠があるわけではないのに、一旦コーディネーション・ゲームにはまってしまうと、中々抜け出せないため、それが悪しき習慣であると思っていても、それを変えることはできない場合が多い。企業内においても意識改革が進まないのはこのためである。