コーディネーション・ゲームの例としてよく取り上げられるのが、仲のよい2人がどちらかの意思になんとなく従ってしまうというのがある。2人は「野球を見に行く」、「サッカーを見に行く」という2つの選択肢があったとすると、お互いどちらでもいいのだが、どちらかといえば「野球を見に行く」方がいいと考えていたとする。
こうした時の2人の満足度は、「野球を見に行く」場合が最高で、「サッカーを見に行く」場合は、その次に満足度が高いことになる。そして、それぞれが別の選択をする場合は満足度0になるといったところである。野球を見に行くことに固執するわけではないが、敢えて主張するより、相手に合わせた方がいいと感じることはよくある。
集団で行動する場合も同じようなことが言える。例えば、職場の同僚と昼食に出かけるといった場合でも、最初になんとなく決まった店に行くという流れができてしまい、もっと美味しい店があるのではと思いながら、敢えて異論を唱えるまででもないと考え、この流れに沿い続けるといった場合などがそれである。
最近新しいビジネスモデルとして話題になっているものに、コーヒー0円販売というのがある。この戦略の目指しているところは、かつての100円パソコンの販売戦略と同様、新しい価値を提案して顧客を誘導し、一つのパッケージの中で収益を得るという考えである。0円でコーヒーが飲めることで、得した分で他のものを買ってもらう作戦である。
これまでは、何か商品を買ってもらった場合にコーヒーをサービスしますという形態であったものが、これを逆にしただけで話題になる。冷静な消費者には、「カレーライス」と「ライスカレー」の違いでしかないのに、見方によっては、斬新で今までにないビジネスモデルと映り、お買い得感が益すから不思議である。
このように相手の心理を巧みに利用し、最終的に自分のコーナーに引き入れる戦略は随所に見られる。「行列のできる○○店」などいうのは、こうした仕掛けでコーディネーション・ゲームを作り、顧客を誘導していることが多い。テレビ番組で取り上げてもらうなども、ある意味共通するところがあるが、顧客をミスリードしてしまう危険性もある。
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