以前から住んでいるAさんの隣に最近Bさんが引っ越してきた。Aさんは、Bさんとはあまり積極的に付き合いたくないので、隣との間に塀を作りたいと考え、Bさんに次のように交渉した。「境界線上にブロックで塀を作り双方でその費用を折半してはどうか」。するとBさん曰く、予算がないのでその提案には応じかねるということであった。
この時、AさんはBさんの答えを前提にしてどのように意思決定すべきであろうか。まず、Aさんのとり得る選択肢は、1.境界線上に低い板塀を作る。2.境界線より少しさがった所にブロックで塀を作る。3.塀を作るのをあきらめる。この中で、1と2は当然Aさんが自分で費用をもつことになり、Bさんの承諾は必要ない。
この時、Bさんの利得はどのようになるだろう。1のケースは費用が捻出できないが、塀を設けること自体はありがたいと思っているとすると、ある意味で歓迎すべきことである。また、2のケースの場合は、費用負担もないうえ、境界線から少し下がってもらえるので、事実上自分の土地が広く使えることになるから、大歓迎ということになる。
さて、Aさんはどの方法を選択すべきか迷ってしまった。その理由は、もともと塀を設けるのは、双方にとってメリットがあることであり、自分が全ての費用を負担してまで、Bさんにメリットを与えるのは釈然としないと考え、いっそのこと、塀を設けることをやめようかとも考えた。しかし、それでは自分のメリットも得ることができない。
色々悩んだ末、やはり塀を作ることにしたが、板塀にするかブロック塀にするかまた悩みだした。ブロックで丈夫な塀にすれば、塀の機能としては十分であるが、事実上自分の土地が狭くなる。しかし、板塀にすれば希望した塀の機能が果たせない。散々悩んだ挙句、「2.境界線より少しさがった所にブロックで塀を作る」を選択した。
もし、Bさんが、Aさんはこうした意思決定をするだろうと読んでいたとしたら、Bさんの勝ちということになるかもしれない。これをゲーム理論的に言えば、「合理的なブタ」ゲームと似ているところもある。つまり、非協力的な相手であるBさんに、ムザムザメリットを与えるのは不本意だが、さりとて自分の利得も守らなければならない。
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