ゲーム理論における戦略的思考

 ゲーム理論というと、相手に勝つための戦略論であると思いがちであるが、ゲームを問題と捉えることで、問題の解決を図るための最適な戦略を考えるというのが、本当の狙いであり、必ずしも勝ち負けだけを対象にしているわけではない。したがって、短絡的に相手を打ち負かすことが問題の解決にはならことに配慮するのがゲーム理論である。
 戦略的思考とは、「相手がこちらを出し抜こうとしているのを承知したうえで、さらにその上をいく技である」と言われているように、勝つことが絶対条件である場合には、果敢に戦い、相手をけちらす戦略も辞さないというのが真の戦略であり、相手の戦う意思を封じ込めることが最もうまい戦略であるという思想が根底にある。
 目の前にある問題を固定的なゲームとして捉え、力づくで相手をねじ伏せるというのでは、その後どのような逆襲となって自分に降りかかってくるのか、そして、その時にはどのようにして自分の利得を守ることができるか、そこまで、問題の構造を読み込み、自分の利得を守る(勝ちとる)ことを考えるのがこの理論である。
 例えば、今国際的に問題になっている地球環境の問題でも、発展途上国が主張するように自国の経済発展のためには、コストがかかりすぎるため、二酸化炭素の排出量規制に反対し、国際的な取り決めを阻止てきれば、取りあえずゲームに勝利したと考えるかもしれないが、そのことにより地球というかけがえない財産を失うことになる。
 こうした場合、本当の勝利をどの辺に求めるか(勝敗ライン)によって、ゲーム(問題)の捉え方も異なってくるはずである。つまり、ゲーム理論では、与えられたルールを前提に戦うことだけではなく、むしろ、ゲームをどのように捉えるか、どのように再構築をするかという議論を戦わせることもゲーム理論で考えることができる。
 争いの渦中にあると、取りあえず相手を負かすことに焦点を当てて考えるため、妥協することは一種の敗北と考えてしまい、経営の根幹である経済的合理性を平気で踏みにじってしまうことがある。相手と強調することで、お互いにとってよりよい選択肢を見つけ出すというのも、ゲームに勝利することなのである。