日本人にとってゲームという言葉は、「遊び」、「スポーツの試合」という印象が強いが、ゲーム理論は、物事が起こっている状況そのものをゲームに見立て、その構造を理解しやすいように整理してみるというのが大きな特徴である。例えば、会社内で起きている上司と部下の間の処遇面をめぐる対立などもゲーム理論で捉えることができる。
この場合、まず、「自分の処遇を改善してもらうために交渉する」という選択と「現状のまま我慢する」という選択がある。思い切って交渉し受け入れられれば、こちらの勝ちであるが、もし拒否されてしまい、それがきっかけで上司との関係が悪化し、何かにつけて仕事がやりにくくなるかもしれないという危険性をはらんでいる。
こうした悩みを解決することをゲーム(問題)と捉えると、自分のとり得る行動は「交渉する」「我慢する」という2つであるが、一方の上司は「受け入れる」「拒否する」の2ということになる。このように問題を整理すると、この4つの組み合わせについてシミュレーションしてみれば、自分はどんな行動をとるべきかが明らかになる。
このように、会社の処遇が気に入らないので、上司と交渉すべきか、それとも現状のままで我慢すべきか迷っている。こうした状態の中で、自分にとって最も利得のある行動を選択する場合の論理的考え方がゲーム理論である。つまり、相手の出方を考え、客観的かつ論理的に判断を下すために思考回路を整備するというのがゲーム理論の考え方である。
ここで4つの組み合わせとは、1.「交渉する×受け入れる」2.「交渉する×拒否する」3.「我慢する×受け入れる」4.「我慢する×拒否する」というパターンになる。つまり、交渉して受け入れられれば、自分の利得は最高になるが、逆に拒否されてしまえば元も子もない状況に追い込まれるから、危険を回避するには我慢するしかない。
多くのサラリーマンはそう考えているのかもしれない。しかし、この場合、上司(会社側)の利得が最大になるのだろうか?従業員の我慢がモラル低下となって現れ、期待した収益が得られないという事態になるとすれば、多大な逸失利益が生じてしまうかもしれない。こうしたアプローチをするのがゲーム理論の基本である。
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