プロセス志向の枠組み

 プロセスとは、部門の各機能を横断して顧客に至る一連の業務活動であるが、単なる業務レベルの問題として捉えるのではなく、企業の競争戦略にかかわる重大な意思決定に関するものとして位置づける必要がある。つまり、従来の生産プロセス重視から、組織のイノベーションに関わるプロセスへと変化していると捉えなければならない。
 プロセスは、それ自体は幾つかの種類に分類されるが、これらを統合するとマネジメントサイクルそのものであるという観点でプロセスを設計し、評価する必要が顕在化していると見るべきであろう。このプロセスが正常に機能していなければ、環境変化に対応した新しいビジョンや戦略の策定には結びつかないという考え方である。
 プロセスの最終評価は、業績評価としての成果のレビューで決まるが、これは終着点であると同時に新たの戦略策定の出発点でもある。このプロセスからもたらされた成果を評価することは、新たな取り組みに対する学習の機会でもある。すなわち、自社の戦略の結果として、顧客は自社をどのように評価しているかが把握できる。
 同時に、業界におけるポジションも明確にすることができれば、顧客や市場の特性を踏まえた、新たなビジョンや戦略の策定、プロセスの改善、製品・サービスの企画・設計、技術開発について学習する機会を得ることになる。この学習の結果を踏まえて、これらのプロセスを再設計することが、組織のイノベーションである。
 ここでのプロセスは、顧客とのリレイションをどのような視点で構築するかという経営戦略の根幹に関わるもので、「販売する」という視点ではなく、顧客の満足度をどのようして高めるかが課題となり、同時に企業の経営目的にも叶うバランス設計が求められる。このプロセスは、従来型の生産と出荷が中心となる。
 しかし、ここでもインターネットなどの技術革新を取り込むというシステム的志向がプロセス設計に大きく関わることになる。これらのプロセスを再設計するには、当然財務的な裏づけや投資効果も吟味されなければならないが、とりわけ人材開発は不可欠な要件である。これらのバランスが期末の成果レビューに繋がる。